最高裁判所第三小法廷 昭和25年(れ)175号 判決 1950年6月06日
主文
本件各上告を棄却する。
理由
弁護人中村泰治の上告趣旨は末尾添附別紙記載の通りである。
第一点に対する判断。
原審挙示の証拠によれば少なくとも判示係長も占有を有して居たことが認められる。共同占有の場合、共同占有者の占有を奪って自己單独の占有に移す行爲は窃盗を以て目すべきこと大審院以來判例の認める処で其解釈は正当である。從って原判決には所論の様な違法はなく論旨は理由がない。
第二点に対する判断。
論旨は原審の事実誤認を主張するもので上告適法の理由とならない。
(なお弁護人皆川一郎は上告趣意書を提出しない。)
よって上告を理由なしとし旧刑訴四四六條に從って主文の如く判決する。
以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)